自己破産センター
b会社更生法の見直しの方向性法務大臣の諮問機関である法制審議会は平成14年9月に会社更生法改正要綱を答申し、組織の再編や債務弁済方針などを盛り込んだ計画案を1年以内に提出することを義務づける等、手続の開始から終了までに要する時間を大幅に短縮する方針を打ち出した。
改正の主なポイントは、図表3ー29に記載のとおりである。
民事再生法と会社更生法のはかにも、再建型法的整理の方法として「商法の会社整理」がある。
「商法の会社整理」は、昭和13年の商法改正により新設された制度であるが、株式会社のみにしか適用されないこと、整理実は債権者全員の同意が必要(実務上は90%以上の同意でも可とされているようである)などにより、現行の民事再生法に比してなんら優位性がないため、いずれ廃止されるものと考えられている。
また、私的整理の一部分ではあるが、倒産5法(破産、特別清算、会社更生法、民事再生法、商法の会社整理)以外にも、以下のような法律の運用による会社整理が行われている。
(彰特定調停法(「特定債務等の調整の促進のための特定調停に関する法律」平成12年2月17日施行)・・・特定債務者(破綻するおそれのある債務者)の経済的再生を求める調停手続であり、民事調停手続の特則として定められている。
つまり、当事者間の合意に基づき裁判所が仲介に入り利害関係の調整にあたるというもので、性格としては私的(任意)整理に近いものである。
特定調停法は換言すれば、法的整理はどの強制力はないが私的整理を合理化し倒産を避けるための手法ともいえる(平成12年12月に東証二部上場の中堅ゼネコン井上工業鰍ェ申請。
A産業再生法(「産業活力再生特別措置法」平成11年8月成立)・・・企業の経営資源の「選択と集中」を円滑に進めることを目的としており、最近ではD(平成14年2月)やHコーポレーション(平成14年5月)が同法の申請をしている。
産業再生法が適用された場合、具体的には主務大臣の認定を受けた事業再構築計画等に従って行われる企業再編において、新会社設立や増資等に伴う登録免許税の軽減や、N投資銀行等による政策融資や債務保証など金融機関の支援を受けることができる等の措置が盛り込まれている。
(3)清算型法的整理:a特別清算特別清算手続とは、株式会社が合併または破産以外の事由により解散し、解散後、清算の遂行に著しい支障をきたすべき事情や会社に債務超過の疑いがある場合に、裁判所の命令により開始され、その監督下で行われる特別な清算手続である。
特別清算の特徴は、以下のとおりである。
@すでに清算に入っている株式会社のみが対象である。
A一般債権者はすべて手続に取り込まれる。
B債権者に対する弁済は、原則として清算人作成の協定案を債権者集会で可決(出席債権者の過半数かつ議決権を行使できる債権者の総債権の4分の3以上が必要)されることによって行われる。
破産よりも手続が簡易・迅速である(代物弁済も認められており、弁済も実質的な平等であればよい。
b破産破産手続は、支払不能または債務超過の状態にある債務者について、裁判所から選任される破産管財人が、破産者の全資産を現金化し、それを債権者に配当するというもので、法的倒産処理手続のなかで最も利用件数が多くなっている。
破産手続の最大の特徴は債権者の同意を必要としないことであり、債権者にとって最も厳しい手続といえる(ただし、担保権者の権利は変らず、よって担保権の行使は自由に可能)。
このほか、業務はすべて破産管財人が行うこと、債権者は平等な配当を受けること、(特別清算とは異なり)否認権行使の可能性がある(経営危機の時点でなされた不動産の売却等について、たとえ譲渡価額が適正であっても破産宣告後に否認される可能性がある)なども特徴としてあげられる。
(4)私的整理に関するガイドライン:a制定の経緯企業の再生の手法として、法的整理は債務者の事業基盤が著しく穀損される懸念がある一方で、私的整理の場合は透明性や衡平性に疑義があるケースが散見される、といった点が問題とされていた。
こうしたことから、私的整理に対する基本的な考え方を整理するため、平成13年4月の政府の緊急経済対策を受け、全銀協、経団連等が、金融庁、財務省、経産省、日銀等の協力を得て、私的整理に関するガイドライン研究会(座長;TD大学教授)を発足させ、13年9月に私的整理に関するガイドライン(私的整理ガイドライン)が取りまとめられた。
同ガイドラインは、法律の裏付けがあるものではないし、すべての私的整理に適用されるものでもないが、官民の関係者が集まって決定したものであること、私的整理ガイドラインに沿った債権カットについては国税当局も認める方向であること等、関係者共通のベースとなりうるものであり、私的整理を進めるにあたっては、少なくともこのガイドラインの精神を尊重して進めることが期待されている。
これまでに同ガイドラインを利用した私的整理は、手続中も含め6件が実施されているが、最近の動きとして、平成14年9月一層のガイドラインの活用を促進させるべく、TD大学法学部教授を中心に「私的整理に関するガイドライン実務研究会」が実務家ベースで発足、これまでの運用実務の問題点について検討し、その結果を同年11月6日に公表している。
このなかでは、再建計画案の内容についての合理的な例外の許容、中小企業への準用、専門家アドバイザーの起用などについて議論がなされており、今後の実務の参考になると思われる。
なお、私的整理ガイドラインの本文とQ&A等は、Z協会のホームページから入手可能である。
bINSOL8原則私的整理ガイドラインは、INSOLInternational(倒産専門の弁護士等、実務家で構成される国際協会)が国際的な多数債権者の私的整理に適用されるものとして作成した「INSOL8原則」を参考にして作成されたものである。
もともと、1970年代から、多数銀行間の裁判外の私的整理の方法について、バンクオブイングランドの指導のもとで贋行化されたルールができつつあったが(これはロンドン・アプローチと呼ばれていた)、INSOL8原則は、このロンドンアプローチを修正・成文化したものである。
ちなみに、INSOL8原則の概要は、以下のとおりである。
@主要債権者の協議による停止期間設定。
A停止期間中の抜け駆け的な回収行為等の禁止。
B停止期間開始日を基準とする事業保全。
C債権者間の調整を行うための委員会の設置。
専門アドバイザーを介した協調による事業再生および債権回収。
D必要十分な情報開示。
E適用法律と、停止期間開始日の主要債権者の相対的な地位の尊重。
F全債権者問の情報共有と秘密保持。
G追加的資金支援への優先的地位の付与。
なお、原資料からダウンロード可。
C私的整理ガイドラインの内容私的整理ガイドラインのINSOL8原則と比べた大きな特色は、手続だけでなく、再建計画の内容にまで踏み込んで規定していることである。
(a)対象企業:対象企業としては、@過剰債務により自力再建困難、A事業価値(収益性や将来性)がある、B法的整理の場合、事業価値が著しく穀損されるおそれがある、C債権者にとっての経済合理性(回収期待額が最も多い等)、の4要件が必要とされている。
いずれも当然のものといえよう。
(b)手続の流れ:エッセンスは、手続期間中は各債権者が残高維持等に協力すること、第1回債権者集会から原則3カ月以内に再建計画を提出すること、再建計画が全員一致で成立しない場合は法的整理等に移行すること等である。
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